RAD Studio XE8 がリリースされました。
アップデートサブスクリプション加入の方および旧年間サポート加入の方は以下からライセンスキーを発行してもらってインストールする事が可能となっています。
また、XE8 発売に伴いキャンペーンが行われています。
XE8 以降、Update / HotFix はアップデートサブスクリプション加入者のみに提供されます。詳しくは過去の記事を参照してください。
XE7 をリチャージで購入された方には救済プランが用意されています。
リチャージ救済プランは Update / HotFix 取得料金とも呼べる金額があらかじめ乗っており、これ単体で購入するのはまったくお得ではありません…XE6 / XE7 のリチャージは 60,000円でしたので。
次にアップデート対象者 (XE7~XE3) 用のキャンペーンですが、この価格にはアップデートサブスクリプションが含まれていません。別途アップデートサブスクリプションを購入する必要があります。アップデートサブスクリプションの価格は、価格表の右側に記載されています。
例えば RAD Studio Professional の場合だと、131,000円 (キャンペーン) + 72,000円 (アップデートサブスクリプション) = 203,000円 (税別) となります。
それからアップデート対象者 (XE2~1) 用のキャンペーンです。簡単に言えばアップデートサブスクリプションに加入する事を条件にアップグレード版を購入できるというものです。価格は XE7~XE3 用のキャンペーン + アップデートサブスクリプションの場合と全く同じとなります。ある意味優遇されたキャンペーンと言えるでしょう。
その他の注意点ですが、アップデートサブスクリプションはアドオンパックにも別途必要となります。Delphi Professional + アドオンパックを購入しようとしている方はご注意下さい。ショップにアドオンパックのアップデートサブスクリプションがない場合には、製品購入後 30 日以内にエンバカさんに問い合わせてアップデートサブスクリプションを追加購入してください。
アップデートサブスクリプションに加入するつもりがないのなら、次バージョンの XE9 発売直前まで待つのが得策だと思います…Update / Hotfix が提供されないのであれば、それが含まれた状態の ISO イメージでインストールするのがいいでしょう。もちろん、ISO だけが更新されて実質的に Update / Hotfix を入手できる可能性もありますが、購入時に DL できる ISO のまま更新されない可能性もありますのでバクチとなります。
アカデミック版?Starter Edition?どちらにもアップデートサブスクリプションはありませんので、バグがあっても As-Is でお使い下さい。
さて、価格面とサポートに関してはネガティブな事を書き綴るしかなかったのですが、機能面に関しては興味深い機能追加が行われているのも事実です。
「何でこの色?」と思わなくもないですが、なんとなく Delphi 2009 のスプラッシュを思い出します。薄ら青くてもいいんですけど、コンポーネントツールバーを表示させるとコンポーネントツールバーのタブと色合いがミスマッチになってしまいます。
旧来の色にするには以下のレジストリファイルを実行してみてください。
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DocWiki に載っているものとは異なりますが、日本語版 Windows で最も近いのはこの設定だと思われます。なお、ツールバーの色だけを変更したいというのは無理なようです。
XE8 には GetIt というパッケージマネージャがあります。
現状では TurboPower や SynEdit が取得できるようです。同じのが二つ並んでる?いえいえ、Delphi / C++Builder 用です (右上のアイコンに注目)。
追記: Update1 ではパーソナリティで絞り込まれるようになっています。
問題だらけだった Document Explorer でのヘルプは廃止され、CHM 形式 (HTML Help) になりました。
Win 9x の時は遅くて嫌だった CHM 形式ヘルプファイルも今時の PC だとサクサク動きますね。昔に戻った?いえいえ、Delphi で CHM が採用された事はなかったハズです。WinHelp (Delphi 7 以前) か Document Explorer (Delphi 2005 以降) だったでしょ?
XE8 ではコードエディタの上部に VB6 みたいなアレが付きました。これは XE8 に付属するようになった Castalia の機能です (残念ながら C++Builder では使えません)。えっと、今調べましたが "コードナビゲーションツールバー" と言うそうです。
他の Castalia の機能としてはクリップボード履歴があります。[ツール | Castalia | Clipboard History] から呼び出せますが、IDE の好きな所にドッキングさせておく事もできます。
Castalia にはリファクタリングの機能もあるのですが、こっちを本家にして J# ランタイムを葬って欲しいものです。また、XE7 ユーザはボーナスパックとして Castalia をダウンロードできます。見た目だけならこれで XE8 相当にできますね (^^;A
エンバカさん純正の設定移行ツールが付属するようになりました。
Delphi 7 以降の環境を移行するのに使えま…シャレじゃないですからね?
インストール先のパスを完全に修正してくれる訳じゃないので、例えばインストールドライブが異なるものを移行しようとすると割とひどい目に遭います。
XE7 で Git に対応していましたが、XE8 では Mercurial にも対応しました。
複数のモバイルデバイスでの見え方を一覧で確認できるプレビューです。
FireMonkey のフォームデザイナの右下に仮想位置合わせツールが表示されるようになりました。VCL のフォームプレビューと似たようなものですが、仮想位置合わせツールの方は背景が Windows のデスクトップをキャプチャしたものとなっています…が、そこは拘る所だろうか?
これもいいけど、FireMonkey フォームデザイナ用のデザインガイドラインをはよ。
IDE の外観的な変更点はざっとこんなものでしょうか?
先にも出てきましたが Castalia です。XE8 で付属するようになりました。ビジュアルな機能としては以下のような物があります。
もう、いくつかの機能は元からあった Delphi の機能と差し替えてもいいんじゃないかなぁ…。
ちなみに、Castalia は Starter Edition には付属しないので XE8 の (IDE の) 新機能と謳われている機能の多くは Starter Edition では使えない事になります。ツールバーが薄ら青くなったのはそれでかい?
混乱が続いているのでアップデートサブスクリプションについて現在判っている事をまとめてみます。
購入方法が良く判らない方のためにツールを作りました。大体合ってると思いますが、最後はちゃんと価格表で確認するようにしてください。
追記:
…するってーと、(実は) 新規ユーザであってもアップデートサブスクリプションに加入するつもりなら 「Delphi 1~5 ユーザです (でした)」 と言い張ればバージョンアップ対象ユーザと同額で購入できるのだな。だって Delphi 1~5 ユーザである事は証明できないもの。あと Delphi 6 Personal とか Turbo Delphi のユーザも (^^;A 最低でも EDN アカウントさえ持っていれば旧版のユーザである事を証明できるな。
新機能が追加されている XE8 ですが、一方で無くなっているものもあります。
QC Windows Client: このサイトでも紹介した事のある Quality Central にあげられたバグ情報を確認するツールです。
バグ報告は Quality Potal に移行しましたが、QC にあったバグ情報を確認するのが困難になりました。中には有益な情報もあったのですが…。現状、Quality Central はかろうじて残ってはいますが繋がりにくく、データを閲覧するのは至難の業です。Closed になっていないバグ報告は Quality Potal へインポートしてくれないものでしょうかね?
ブラウザウィンドウのツールバー: ウェルカムページ等のブラウザウィンドウからツールバーが消えています。
上が XE7 以前のウェルカムページで、下が XE8 のウェルカムページです。アドレスバーを含むツールバーがありませんよね?
Web ページをちょっと開きたい場合にはアドレスバーに URL を入力しちゃえばよかったのですが、それができなくなってしまいました。ここにブックマーク等が実装されれば IDE から離れずに済んだので便利だったと思うのですが、何故消す必要があったのでしょうね?ひょっとして、Castalia とバッティングしちゃうのでしょうか?
個人的に無くして欲しいのはインストールに必要な J# ランタイムなのですが…J# のランタイムはメインストリームサポートは終了しており、延長サポートは 2017/10/10 で切れます (J# 自体は 2016/04/12 で切れます)。
XE8 発売に合わせて Appmethod 1.16 も公開されています。
…ただ、日本語ページはまだ差し替えられていないので、右上の言語選択で English に変更してください。
XE8 では iOS 64bit コンパイラが追加されています。これは Apple が 2015/02 以降の新規アプリでの iOS 8 対応及び 64bit 対応を義務化した事に対応するためのものです。時期的に考えれば XE7 で対応して欲しかったのですけれど…。
XE8 のメインはコレと言っても過言ではないでしょう。他の変更は枝葉末節の問題でしかありません。但し、iOS シミュレータ用 64bit コンパイラは用意されていないため、iOS シミュレータでデバッグする場合には従来通り 32bit コンパイラで行う事になります。
LongInt と LongWord が iOS プラットフォームではプラットフォーム依存の整数型となってしまいました。LongInt と LongWord は iOS 64bit の時のみ 64bit 整数となります。
VCL / FMX で使えるアプリケーションの使用状況のアナリティクス(分析結果)コンポーネントが追加されています。
http://appanalytics.embarcadero.com にアクセスして EDN アカウントでログインすれば使えるようになるようです…が、どうもこのサービスは有償のようなのです。機能一覧には以下のような記述があります。
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まぁ、使う事はないでしょうね。ぶっちゃけ、エンバカさんのインフラ関係は信用できないんですわ…フォーラムしかり QC しかり。それにこんなコンポーネントは Professional 版には不要なのでは?DB にローカル接続しかできないような SKU にこんなのあってもね。
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すべてのプラットフォーム用に HTTP(S)クライアントライブラリが用意されています。https は OpenSSL ライブラリに依存しません (OpenSSL ライブラリの配布も不要)。
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2D 物理エンジン Box2D が搭載されました…まぁ、使おうと思えば以前から使えたのですけれど。
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特定のコンポーネントは ControlType プロパティを Platform に設定する事で iOS ネイティブなコントロールを利用できるようになりました。これやっちゃうんなら、他のプラットフォーム用のコントロールでもやって欲しいです。LongInt と LongWord の件もそうですが、iOS の都合 (だけ) に合わせてポリシー曲げるのはやめてもらいたい。
FireMonkey の TWebBrowser は従来モバイル専用でしたが、Windows / OS X でも使えるようになりました。
細川さんが以前に作ってらっしゃったので、今更感がない訳じゃないです。誰もが「それは要るだろう?」という物がなかなか実装されないのも FireMonkey が広まらない一つの理由だと思います。
マップコンポーネント TMapView が追加されています。ブラウザコンポーネントでできない事もないのでどうでもいいですが、デスクトップアプリでも使えるようにしてもらいたいものです。
See Also:
FireMonkey でイメージリストが使えるようになりました。
多重解像度ビットマップに対応しているので、VCL のものと比べるとちょっと使い方が複雑です。
TCameraComponent の Quality がちゃんと動作するようになったようです。プロパティ自体は XE4 時点で存在したのですが、Windows で使うと 640x480 とかの低解像度が優先され、かつ Quality プロパティを変更しても何も起きないため使い物になりませんでした。
TabletLight、Sky、Glow の3つが追加されています。
ビーコンのサンプルは XE7 にもありました…ただ iOS / OS X ではちゃんと動いていたようですが、それ以外のプラットフォームではマトモに動かないようでした (私がデブキャンで失敗したように)。今回コンポーネント化された事により Android でもマトモに使えるようになったようです。
「だが Windows、てめぇだけは駄目だ!」という事で、Windows では "Windows 8.x + Bluetooth ドングル" を用意したとしてもビーコンは使えません。
See Also:
XE7 でもホットフィックス (ベータ) が存在しましたが、XE8 で正式対応になっています。それから、XE8 では Android の SDK を自前でセットアップする必要があるので注意してください。
See Also:
XE8 (Delphi) のコードエディタで | (パイプ: 0x7C) を入力すると即フリーズします。XE8 + Castalia の問題のようで、XE7 以前では発生しませんし、XE7 + Castalia でも発生しません。
XE7 の正統進化といった感じ。細かい感想は…
"モバイルをやらないのなら XE7 と同じ" と考えてもいいかもしれない。もちろん、バグは修正されているけれどアップデートサブスクリプションでバックポートされるのだとしたら XE7 のまま使い続けたほうがいい場合もあるかもしれない (アップデートサブスクリプション加入&XE7 アプリが既にある場合)。
モバイルをやるのなら XE8 にするのがいい。各 OS の最新版に対応しているし、iOS に至っては 64bit コンパイラがないと使い物にならない。それと、FireMonkey にイメージリストが追加されたのは大きい。似たような事は XE4 以前ではできたのだけれど、XE5 以降でできなくなってしまっていたし。
ちょっとだけ擁護すれば、iOS 64bit 対応に精一杯で、判りやすい変更点があまりなくなってしまったといったトコロでしょうか…最優先事項だったのでこればかりは仕方ないかな。
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