SHARP PC-1251 の修理

SHARP PC-1251 の修理に関する記事です。




液晶交換

PC-1250/51/55 の LCD が黒くなってしまった際の交換用 LCD が頒布されています。本記事は PC-1251 を元に書かれていますが、PC-1250/55 も同様です。

LCD 交換 (+α) の際にあると便利なものは次の通りです。

用途 入手先
精密プラスドライバー #1 裏蓋やプラスチックシャーシで使われている M2 ネジ用 100 円ショップ
精密マイナスドライバー 液晶フレームのツメを起こすのに。可能なら砥石で先端を研いでください。
元々刃物だったものをツメを起こす用途で使うと欠けて危険です。
100 円ショップ
ラジオペンチ 液晶フレームのツメを起こすのに 100 円ショップ
歯ブラシ 液晶フレームのツメを折り曲げるのに (お尻で押します)
無水エタノールで清掃する際にも
100 円ショップ、ドラッグストア
アセトン (ネイルリムーバー) 液晶フレームから液晶をはがすのに ホームセンター、100 円ショップ
ジップロック (的な袋) 液晶フレームから液晶をはがす時の漬け込み用 100 円ショップ
イソプロピルアルコール or 無水エタノール 清掃用 ドラッグストア、ホームセンター
綿棒 清掃用 100 円ショップ、ドラッグストア
ポリイミドテープ (Amazon) 液晶フレームのツメを起こす時の基板保護、短絡防止、ホコリ防止/除去用にも 通販
接点復活スプレー (Amazon) 基板 (接点) の清掃 ホームセンター
タミヤ F グリス (Amazon) スライドスイッチ摩耗防止用 通販、ホビーショップ

液晶交換

液晶交換手順は『PC-1245 LCD 交換マニュアル』をなぞっています。先に公式 Youtube 動画を視聴する事をオススメします。

  1. 裏蓋のネジを外します。
  2. 電池カバーを外して、電池を取り出します。
  3. ネジ 3 本を外して、メモリ基板を外します。基板同士を接続している導電ゴム (ゼブラコネクタ) がどちらかの基板に貼りついているので無くさないように注意してください。
  4. ネジを 1 本外して黒いプラスチックシャーシを外します。手前から奥に起こすようにすると外れます。ここで圧電サウンダのリード線をハンダごてを使用して取り外します。外さずに作業する事もできますが、外して作業した方が圧倒的に楽です。この状態で圧電サウンダを外す場合には周囲をポリイミドテープで保護した方が無難です。
  5. 机に置いた状態で基板を外します。手前から奥に起こすようにすると外れます。浮かせて作業するとキーボードのパーツが飛散します。作業中は表から養生テープを貼っておくといいかもしれません。

    キーボードのメンブレンシートは基板に貼りついている事が多いので、ケース側に戻しておきます。
  6. LCD の偏光板を取り外します。偏光板は切り欠きがあるのが左上です。この偏光板は外したらもう使用しないので、破損しても大丈夫です。偏光板を固定していた両面テープは IPA か無水エタノールでキレイに取り除いておきます。
  7. LCD の金属フレームの爪を起こします。全部で 8 箇所あります。100均の精密マイナスドライバーの先を研いだものを用意しておくと便利です。
  8. 基板と LCD の金属フレームを分離します。金属フレームの爪はペンチで挟んで真っすぐに矯正しておきます。
  9. LCD から導電ゴム (ゼブラコネクタ) を外します。ピンセットを使って端からゆっくりと剥がしてください。
  10. LCD と金属フレームは両面テープで接着されていますが、カッチカチになっていて外れないので、アセトン (ネイルリムーバー) に漬け込みます。食料品用のチャック付き袋だとアセトンは漏れませんが、念のためにタッパー等に入れておいた方がいいかもしれません。日向に置いておくと、2 時間くらいで外せるようになります。液晶面を完全に浸すのと、たまに液晶面を押してアセトンを浸透させるのが短時間で外すコツです。
  11. 金属フレーム内側の両面テープは粘着力が残っていますのでそのままでも大丈夫な事が多いですが、キレイに除去して新しい両面テープを貼った方が無難です。アセトンのせいで厚みが均一になっていない事があるからです。両面テープを貼り換える際は、厚めのものを使って下さい。
  12. 交換用 LCD を用意します。金属フレームの穴と反対方向に LCD のポッチが来ます。
  13. 交換用 LCD の保護シートを外し、金属フレームに載せます。別途購入した導電ゴムは長いのでカットして使います。元々の導電ゴムを再利用する事もできます。導電ゴムを密着させるために IPA か無水エタノールで拭いてから載せます。LCD 側も拭いておきます。導電ゴムはできるだけ真っすぐ、内側に寄せておきます。

    導電ゴムがズレないように 3D プリンタで L 字のフレーム (画像のオレンジ色の部分) を作っておくといいかもしれません (FDM だと精度の関係で難しいかも)。
  14. 基板にポリイミドテープを貼ります。金属フレームの爪と基板を直接触れさせないようにします。
  15. LCD 金属フレームを基板に取り付けます。フレームを基板に充分に押し付けた状態でツメを根元から曲げるのがコツです。
  16. 分解の逆の手順で組み立てていきます。
  17. 交換完了です。背面にある ALL RESET を押して電源を ON にしてください。


トラブルシューティング

・スイッチが OFF なのに BUSY インジケーターが点灯したままになる

背面にある ALL RESET を押しても BUSY インジケーターが点灯したままの場合、金属フレームと基板 (のパターン) が接触しています。ポリイミドテープと、金属フレームの爪を確認しましょう。金属フレームの上側の爪がちゃんと曲げられていないとこの現象が発生しやすいです。

・横に線が入ったり、一部文字が表示されない

導電ゴムの接触不良です。横線は LCD の左右端 7mm くらいの上下、文字が表示されないのは左右端を除いた上下の接触不良です。基板や LCD のコンタクト部分、導電ゴムを IPA または無水エタノールで拭き、金属フレームの爪を根元から曲げてもっと導電ゴムを押し付けてください。ポリイミドテープが基板の LCD コンタクト部分に挟まっていないかも確認してください。

・文字がぼやけたり変な形になっている

導電ゴムが斜めにセットされています。金属フレームの爪を曲げる過程で導電ゴムが横にスライドしてしまった可能性があります。基板や LCD のコンタクト部分、導電ゴムを IPA または無水エタノールで拭いて導電ゴムを密着させてみてください。何度試してもダメな場合は、オリジナルの導電ゴム (若干の粘着力がある) を使うか、3D プリンタによる L 字フレームを検討してみてください。



圧電サウンダー (スピーカー) が千切れちゃったのだけれど?

リード線が外れただけならハンダ付けすれば OK です。

黒いプラスチックシャーシはネジ留めされていない状態で作業しましょう。ポリイミドテープで周囲を保護しておくとシャーシを溶かす事故を防げます。

電極 リード線 基板 圧電サウンダ
プラス 下側 内側
マイナス 上側 外側

外して無くしちゃった人は、直径 22mm までの圧電サウンダ (スピーカー) を探しましょう。Amazon とかでも入手可能ですが、秋月電子等で買った方が安いです (送料を考えなければ)。直径 20mm くらいの圧電サウンダだと入手性がいいと思います。

リード線が付いていない圧電サウンダはハンダ付けの難易度が高いので、短くてもリード線の付いているものを買った方がいいと思います (付け替えは難しくない)。



裏蓋のネジを無くしてしまったのだけれど?

M2 皿ネジ 8mm が適合しますが、ほんの少しだけ長いので、全体の長さを 7.50mm 程度まで削ったほうがいいと思います。このネジは普通のホームセンターでも見かけます (当方が購入したものは実測で 7.85mm でした)。

裏蓋を外した所に見えているネジは、PC-1245 と PC-125x で異なります。PC-125x では裏蓋と同じ M2 皿ネジが使われています。

場所 ネジ 実測長 代替推奨 本数
裏蓋 M2 皿ネジ 7.78mm 7.50mm 2
プラスチックシャーシ 1
メモリ基板固定 3

長い M2 ネジをキレイに切断するには ENGINEER PA-01 を使うとよさそうです。

ネジが長すぎるとキツめに締めた時に表のアルミプレートが凸ってきます。




メモリ増強

SHARP PC-125x の実質の違いはメモリ容量だけとなります。PC-1250 や PC-1251 は、メモリを 18KB へと増やす改造を行う事ができます。

概要

PC-1250/51 のメモリ増強の概要については ratna (@mobi1255) さんのツイートにあります。

本記事はこの内容を元にしています。


メモリ購入

メモリは秋月電子から購入しました。購入時価格は 1 個 40 円でした。失敗を考えて最低でも 2 個購入したほうがいいかと思います。私はキリのいい数字になるように 5 個購入しました。

32KB の SRAM です。16KB 分を利用します。


メモリ交換

メモリ交換の実際の手順は次の通りです。

  1. 裏蓋のネジを外し、電池蓋を外して電池を抜きます。メモリ基板を固定しているネジを 3 本外します。
  2. メモリ基板が外れました。メモリ基板に導電ゴムがくっついてきた場合は剥がして本体側に戻しておいてください。このメモリ基板には幾つかバージョンがあるようですが、やる事は同じです。
  3. 交換用 SRAM の足をいくつか伸ばしておきます。向きに注意してください。何度も曲げ伸ばしを繰り返すと金属疲労で折れますので注意してください。
  4. 交換前のメモリ基板の様子です。ROM や SRAM の配置の関係上、上下を逆にして説明します。
  5. (PC-1251 の場合) メモリの足にたっぷりと追いハンダをしてメモリを剥がします。ヒートガンをお持ちの方はヒートガンでもいいのですが、周囲のチップにダメージを与えないように注意してください。
    剥がした後はハンダ吸い取り線でパッドのハンダを可能な限り除去し、IPA や無水エタノールで焦げたフラックスを除去し、さらにフラックスを塗っておきます。
    どのみちこのメモリを再利用する事はないと思いますので、ピンをニッパでカットしてから作業した方が簡単かもしれません。
  6. 26番ピンパッドと23番ピンパッドにリード線をハンダ付けします。
  7. 32KB SRAM をハンダ付けします。足を伸ばしたピンは紫色になっています。この時、SRAM はパッドの中央ではなく、可能な限り内側に寄せてハンダ付けしてください。
  8. 24番ピンパッド (26番ピンの位置) から生やしたリード線を SRAM の 28番ピンにハンダ付けします。
  9. 21番ピンパッド (23番ピンの位置) から生やしたリード線を SRAM の 27番ピンにハンダ付けします。
  10. SRAM の 1番ピンを、同じく SRAM の 14番ピンへジャンパーします。
  11. ゴチャゴチャするので、ここまでの作業分は半透明にします。
  12. SRAM の 23番ピンと ROM の 13番ピン (ROM 右辺の下から 2 番目) をジャンパーします。
  13. SRAM の 26番ピンと ROM の 15番ピン (ROM 右辺の下から 4 番目) をジャンパーします。
  14. SRAM の 2番ピンと ROM の 19番ピン (ROM 右辺の上から 4 番目) をジャンパーします。
  15. 浮いているピンをホットボンド等で処理しておきます。SRAM のピン数が増えているため、そのままメモリ基板を取り付けようとしても黒いプラスチックシャーシと干渉します。
  16. プラスチックシャーシを一部カットします。カット範囲は引き回したジャンパー線によって異なります。できるだけメモリ基板の縁にジャンパー線が来ないように作業しましょう。
  17. メモリ基板を取り付ける前に圧電サウンダのリード線をルート変更します。目一杯上に寄せるか、下に寄せてください。交換した SRAM の方が厚みがあるので、これを行わないとメモリ基板が浮いてしまいます。リード線が切断されないように注意して移動させてください。
  18. メモリ基板を取り付ける際には下側のネジから締めるようにしてください。上のネジを先に締めると導電ゴムが接触不良を起こす事があります。導電ゴムやコンタクト部分を素手で触った覚えがあるのなら、IPA や無水エタノールで清掃しておきましょう。
  19. 電池を入れ、電池蓋をセットしたら、ALL RESET を押して下さい。
  20. 電源を入れ (RUN モード)、MEMENTER とタイプしてください。17822 が表示されれば 18KB 成功です。失敗すると 1438 と表示され PC-1250 化してしまいます。

この記事ではジャンパーをジュンフロン線で行っていますが、プラスチックシャーシのカット部分が大きくなってしまいます。可能であれば UEW 線 (ポリウレタン線) を使って作業を行ってください。

※ ヤフオクで出品されている 18KB 化 PC-1250/51 はプラスチックシャーシのカットを行わないで装着できるようになっていたりします。

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