# Raspberry Pi Desktop (Buster) を USB フラッシュドライブから起動して使う --- tags: Linux Debian RaspberryPi raspbian USBメモリ created_at: 2019-10-04 updated_at: 2020-02-22 --- # はじめに [Raspberry Pi Desktop](https://www.raspberrypi.org/downloads/raspberry-pi-desktop/) という [Debian](https://www.debian.org/index.ja.html) をベースにした Linux ディストリビューションがありまして、これは[ラズベリーパイ財団](https://www.raspberrypi.org/)からリリースされています。 ![image.png](./images/59320cbc-1cd5-3db6-9618-91b3ad8c6118.png) - [Raspberry Pi Desktop](https://www.raspberrypi.org/downloads/raspberry-pi-desktop/) PC および Mac で動作し、Live-DVD を作成したり、仮想マシンで実行したり、HDD へインストールする事も可能です。 この記事は [Raspberry Pi Desktop](https://www.raspberrypi.org/downloads/raspberry-pi-desktop/) を [USB フラッシュドライブ (USB メモリ)](https://ja.wikipedia.org/wiki/USB%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%96) にインストールしようというもので、過去に Stretch をインストールした記事の焼き直しです。 - [Raspberry Pi Desktop (Stretch) を USB フラッシュドライブから起動して使う (Qiita)](./cba4e77ce776839dc004.md) # セットアップ ## 必要なもの 作業は Windows 10 上で行うものとします。インストールには 16GB 程の USB フラッシュドライブが必要です。Live-DVD で動作するくらいなので 8GB でも動くとは思いますが、アップデート等を行うとすぐに容量不足になってしまうと思います。 ![image.png](./images/29338b1e-7f45-3c93-05c4-3660f11b708a.png) [Stretch をインストールした時のもの](./cba4e77ce776839dc004.md#%E5%BF%85%E8%A6%81%E3%81%AA%E3%82%82%E3%81%AE)をフォーマットして使います。 ![image.png](./images/2552c61e-3e93-33e4-b186-f631bd22fc37.png) ## ISO イメージのダウンロード [トレント](https://ja.wikipedia.org/wiki/BitTorrent)が使えるのならトレントを使った方が早く DL できます。[uTorrent Portable](https://portableapps.com/apps/internet/utorrent_portable) とかで DL するのをオススメします。 - [https://www.raspberrypi.org/downloads/raspberry-pi-desktop/](https://www.raspberrypi.org/downloads/raspberry-pi-desktop/) 記事を書いた時点の最新版 ISO のファイル名は 2019-09-25-rpd-x86-buster.iso (Debian Buster) でした。 ## 起動可能な USB フラッシュドライブを作成 ### Rufus を使ったやり方 - [Rufus (http://rufus.akeo.ie/)](http://rufus.akeo.ie/) ![image.png](./images/7a6f3d2a-7307-a9e0-154b-7c2f5256b37a.png) 1. 書き込み先の USB フラッシュドライブ を選択 2. Raspberry Pi Desktop の ISO イメージを選択 3. [保存領域のサイズ] のスライダーを目一杯右へ。 4. [スタート] で書き込む 途中で以下のようなダイアログが出たら [はい] を押して進みます。 ![image.png](./images/d3ae5c7d-e50f-6133-2349-9a9024ba48ea.png) フォーマット確認画面も出ます。 ![image.png](./images/89012de0-f54b-0bea-0936-e2944d045523.png) ※ 永続ストレージ (保存領域) の確保のトコだけは注意が必要です。 ### Etcher を使ったやり方 - [Etcher (https://etcher.io/)](https://etcher.io/) ![image.png](./images/f0f78425-e4e8-087c-df51-17304d3811b1.png) 1. Raspberry Pi Desktop の ISO イメージを選択 2. 書き込み先の USB フラッシュドライブ を選択 3. [Flash!] で書き込む ※ 当方の環境だと Portable 版は DL も起動もやたら時間が掛かりました。実行中なのかわからないくらい待たされたので、タスクマネージャで確認しながらやりました。 ### その他の方法 その他の方法でイメージを書き込むと**永続ストレージ**が正しく使えず、手動でパーティションを作成/調整する必要が出てくるかもしれません。 ## 起動 UEFI / BIOS で USB フラッシュドライブから起動するように設定しておきます。USB フラッシュドライブを PC や Mac に挿して電源を入れると起動メニューが表示されます。 ![image.png](./images/f226355e-3fc6-4129-5916-f4b276cf049c.png) ![image.png](./images/e911237d-b580-d476-0625-42d7b1a366a8.png) - **Run with persistence**: [実行] 永続ストレージを保存に使う - **Run and reset persistence**: [実行] 永続ストレージを初期化して保存に使う - **Run without persistence**: [実行] 永続ストレージを使わない - **Graphical install**: [インストール] グラフィカル - **Install**: [インストール] テキストベース - **Install with speech synthesis**: [インストール] テキストベース + 音声読み上げ - **Help**: [ヘルプ] 〔Enter〕 キーを押すか、そのまま 10 秒待ちましょう。 ![image.png](./images/e21bd382-35e0-2b1b-9beb-ab121adc6e4c.png) 初回起動時はちょっと時間が掛かります。 ![image.png](./images/3213ee8a-e106-1fce-b1d0-94cca7e6852e.png) Raspberry Pi Desktop が起動しました。 ## 設定 Raspberry Pi Desktop の各種設定はアプリケーションメニュー (ラズベリーアイコン) から [Preferences | Raspberry Pi Configuration]([設定 | Raspberry Pi の設定]) で行いますが、初回起動時にも設定画面が出てきます。 ![image.png](./images/a8a53e2b-5d93-a8a4-cf92-b5a0973eeb44.png) ### 国 ![image.png](./images/06981abe-9150-41e8-4c26-6c55576a6054.png) - Country: Japan - Language: Japanese - Timezone: Tokyo ### パスワード設定 ![image.png](./images/4b7c9d8b-f6d7-2d92-0e54-bd9ae78e51ae.png) 初期パスワードである `raspberry` でいいのなら空欄のまま [Next] を押します。 ### 無線 LAN 設定 (無線 LAN アダプタが有効の場合) 無線 LAN アダプタが有効の場合には追加の設定画面が出てきます。 #### Wi-Fi ネットワークの選択 接続する Wi-Fi ネットワークを選択します。 ![image.png](./images/c9c7cfa6-66d7-c6c2-ec1d-8959ecfc7e38.png) この手順をスキップするなら [Skip] を、設定を続けるなら [Next] を押します。 #### Wi-Fi パスワードの入力 Wi-Fi ネットワークへのパスワードを入力します。 ![image.png](./images/2d184943-6212-21ca-413b-bc59ebd44b7e.png) この手順をスキップするなら [Skip] を、設定を続けるなら [Next] を押します。 ### ソフトウエアアップデート ![image.png](./images/ebda11c3-c829-a151-ed73-8b6f4f039862.png) この手順をスキップするなら [Skip] を、アップデートを行うなら [Next] を押します。 ### 完了 ![image.png](./images/5d5caf63-a4de-c3ce-9488-266718f2bcbe.png) 設定を反映するために [Restart] を押して再起動する必要があります。 再起動すると...ちゃんと日本語化できました。Live-DVD からの起動とは異なり、ちゃんと設定は (永続ストレージに) 保存されます。 ![image.png](./images/967b30a7-ad11-c1fe-9fee-db98c9a198a7.png) 再起動しても日本語化できない場合には永続ストレージが正しく作られていないと思われます。何度やっても設定の保存に失敗する場合は USB フラッシュドライブを初期化してからやり直してみてください。 - [USB メモリフォーマッタ (Google 検索)](https://www.google.co.jp/search?q=usb+%E3%83%A1%E3%83%A2%E3%83%AA+%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%83%E3%82%BF&biw=1667&bih=885&source=lnms&sa=X&ved=0ahUKEwj67eauhr3aAhXGjJQKHfJTCgAQ_AUICSgA) ### システムのアップデート `apt-get update` で [apt](https://ja.wikipedia.org/wiki/APT) のパッケージリストを更新しておきます。 ```bash $ sudo apt-get update ``` ### 日本語フォントのインストール とりあえず [noto-cjk](https://www.google.com/get/noto/) / [IPA](https://ipafont.ipa.go.jp/old/ipafont/download.html) / [IPA EX](https://ipafont.ipa.go.jp/old/ipafont/download.html) / [takao](https://launchpad.net/takao-fonts) が入っていればいいかと思います。 ```bash $ sudo apt-get install fonts-noto-cjk fonts-noto-cjk-extra fonts-ipafont fonts-ipaexfont fonts-takao ``` ### UI のフォント変更 デスクトップの何もない所を右クリックし \[デスクトップの設定\] を選択 (またはアプリケーションメニューから [設定 | Appearance Settings] )。 \[System\] タブの \[Font\] を `Noto Sans CJK` に変更 (フォントの種類は任意です)。 ![image.png](./images/316f12f8-44ab-fb63-6e61-53028b2a1db1.png) ### 無線 LAN の国設定 (初回起動時に無線 LAN の設定を行っていない場合) アプリケーションメニュー (ラズベリーアイコン) から [Preferences | Raspberry Pi Configuration]([設定 | Raspberry Pi の設定])を開き、[ローカライゼーション] タブの [無線 LAN の国設定] を設定します。 ![image.png](./images/8fa70dce-3da7-5a73-8928-c3061cc345e1.png) - Country: JP Japan `raspi-config` からも設定できます。 ```bash $ sudo raspi-config ``` ![image.png](./images/744cb29b-38f9-ed57-c96a-642b5e109a01.png) ### Chromium (ブラウザ) の日本語化 [Chromium](https://ja.wikipedia.org/wiki/Chromium) を日本語化するには言語パックをインストールします。 ```bash $ sudo apt-get install chromium-l10n ``` ![image.png](./images/6b89d1e4-c043-5498-eea8-6e7df203dd78.png) 検索エンジンが `DuckDuckGo` になっているので、`Google` にしておくといいでしょう。 ![image.png](./images/3adae82c-219a-91bc-a12a-345cba3b4587.png) ※ 事前に [takao フォント](https://launchpad.net/takao-fonts)がインストールされていないと永続ストレージが壊れるかもしれません。 ### LibreOffice (Office スイート) の日本語化 [LibreOffice](https://ja.libreoffice.org/) を日本語化するには言語パックをインストールします。 ```bash $ sudo apt-get install libreoffice-help-ja ``` ![image.png](./images/aece1f47-7ecd-8fd7-8327-7dba1ef311e8.png) ### Scratch 2 (プログラミング言語) の日本語化 [Scratch 2](https://ja.wikipedia.org/wiki/Scratch_(%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0%E8%A8%80%E8%AA%9E)) を日本語化するには、右上の地球アイコンをクリックし [日本語] または [にほんご] を選びます。 ![image.png](./images/6da41f35-8fd9-3565-699f-ddd8db67e4b6.png) ### IM (入力メソッド) IM フレームワーク [Fcitx](https://ja.wikipedia.org/wiki/Fcitx) と Google 日本語入力のオープンソース版である [Mozc](https://ja.wikipedia.org/wiki/Google_%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E5%85%A5%E5%8A%9B#Mozc) を導入します。 ```bash $ sudo apt-get install fcitx-mozc $ sudo reboot ``` 念のために再起動しておきます。再起動後は〔半角/全角〕または〔Ctrl〕+〔SPACE〕で IM をオンオフできるようになります。 ### ハードウェアクロックをローカルタイムに変更 運用的には Windows と Linux のデュアルブートという事になりますが、Raspberry Pi Desktop を終了して Windows を起動すると時刻が 9 時間ズレると思います。これを回避するには、ハードウェアクロックをローカルタイムとして設定します。 ```bash $ sudo hwclock --systohc --localtime ``` Windows 側の設定を変更する方法もあるのですが、Raspberry Pi Desktop が間借りしている状況なので Raspberry Pi Desktop 側で設定変更すべきだと思います。 ### リモートデスクトップ Stretch には VNC がありましたが、Buster にはないようなので RDP サーバである **xrdp** をインストールします。 ```bash $ sudo apt-get install xrdp ``` Windows 10 から RDP 接続するとこのようなログイン画面が表示されますので、username / password を入力します。 ![image.png](./images/cb4656e7-04fb-4720-3b9f-f96f0d972089.png) ログイン後は普通のデスクトップです。 ![image.png](./images/7b8d5354-cca8-14d2-b600-7267283b0c51.png) ### SSH アプリケーションメニュー (ラズベリーアイコン) から [Preferences | Raspberry Pi Configuration]([設定 | Raspberry Pi の設定])を開き、[インターフェイス] タブで SSH を有効化できます。 ![image.png](./images/265ba926-cbe3-2422-2c8f-a853a9d50568.png) `raspi-config` からも設定できます。 ```bash $ sudo raspi-config ``` ![image.png](./images/0bb2c0fb-6f99-5537-299a-0f3d2aebeee3.png) ただこのまま PuTTY 等で接続しようとすると、 > \--------------------------- > PuTTY Fatal Error > \--------------------------- > Disconnected: No supported authentication methods available (server sent: publickey) > \--------------------------- > OK > \--------------------------- このようなエラーが出ます。これを回避するには `/etc/ssh/sshd_config` をいじります。 ```bash $ sudo nano /etc/ssh/sshd_config ``` `PasswordAuthentication` を **yes** に変更します。 ```text PasswordAuthentication yes ``` 書き換えたら sshd を再起動します。 ```bash $ sudo systemctl restart ssh ``` 初期パスワードのままだと、Raspbian 起動時に警告が出るようになります。 ![image.png](./images/21e503ce-8d60-9a16-b5d7-780a68d0a36c.png) ちょっとウザいです。 **See also:** - [SSH connection failure (Raspberry Pi Forum)](https://www.raspberrypi.org/forums/viewtopic.php?t=227067) # おわりに 日本語化の設定も Stretch に比べて簡単になっているようですね。 **See also:** - [PIXEL for x86 (RaspberryPiのデスクトップ環境) (Qiita:@mt08)](https://qiita.com/mt08/items/d179f3935ac0becbe659) - [Windows PCにPIXEL(Raspberry Pi OS) for PCをインストールしてみよう (@IT)](http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1711/02/news023.html) - [第63回 Raspbian Stretchと日本語変換(fcitx-mozc)- IT女子のラズベリーパイ入門奮闘記 (Device Plus)](http://deviceplus.jp/hobby/raspberrypi_entry_063/)