# Turbo Pascal 3.02 を Windows 10 (64bit) / 11 にインストールしてみる --- tags: Borland embarcadero TurboPascal created_at: 2021-05-03 updated_at: 2024-02-14 --- # はじめに Embarcadero からアンティークソフトウェアとして無償公開されている **Turbo Pascal 1.0** を、Windows 10 (64bit) / 11 環境で使えるようにする方法についての詳細です。 ## ■ Turbo Pascal 3.02 **Turbo Pascal** は Borland 系 Pascal コンパイラであり、**UCSD Pascal** に似た統合環境を持つ製品です。 ![image.png](./images/6a408abc-8f5c-66f3-bbc2-9e42b6b1a037.png) **Turbo Pascal 3.02** は 8087 コプロセッサに対応した最初の Turbo Pascal です。CP/M 対応はバージョン 3 が最後となりました。 **See also:** - [Turbo Pascal 3.0.x の使い方 (Qiita)](./ec212f5cc17cbe5f718b.md) # インストール - Turbo Pascal 3.02 は MS-DOS で動作するアプリケーションなので、MS-DOS や 16bit Windows へは普通にインストールできます。 - 32bit Windows の場合、OS の種類によっては NTVDM が別途インストールされるかもしれませんが、基本的にはそのままインストールできます。 - 64bit Windows では MS-DOS アプリケーションが動作しませんので、**MS-DOS Player** を使って動作させます (**DOSBox** 上でも動作可能です)。 本記事は Windows 10 (64bit) / 11 への Turbo Pascal 3.02 インストールを試みるものとなっています。 ## MS-DOS Player MS-DOS Player アーカイブの `binary` サブフォルダには複数のバージョンの `MSDOS.EXE` があります。 | 32bit 版 | 64bit 版 | 説明 | |:---|:---|:---| | i86_x86 | i86_x64 | 8086 サポート | | v30_x86 | v30_x64 | V30 サポート | | i286_x86 | i286_x64 | 80286 サポート | | i386_x86 | i386_x64 | 80386 サポート | | i486_x86 | i486_x64 | 80486 サポート | | ia32_x86 | ia32_x64 | IA32 (Pentium) サポート | 基本的にはどれを使っても構いませんが、リストの下に行くほど高機能かつバイナリサイズが大きくなります。 MS-DOS Player では MS-DOS アプリケーションを 64bit Windows で動作するようにコンバートできるのですが、この時できる実行ファイルのサイズも `MSDOS.EXE` のサイズに比例します。 **Download:** [MS-DOS Player (TAKEDA, toshiya)](http://takeda-toshiya.my.coocan.jp/msdos/) ## 具体的なインストール手順 (Turbo Pascal 3.02) ### 1. Turbo Pascal 3.02 をダウンロード CodeCentral から **Turbo Pascal 3.02** をダウンロードしてきます。 ![image.png](./images/eff166ec-6d3e-bf60-4ae3-2d3da81e4feb.png) **Download:** [Antique Software: Turbo Pascal 3.02 (Embarcadero)](https://cc.embarcadero.com/Item/26016) ※ EDN アカウントを持っていない場合には、事前に [EDN アカウントを取得](https://members.embarcadero.com/newuser.aspx?lang=jp)する必要があります。 ### 2. アーカイブを解凍 ダウンロードした `TP302.ZIP` を適当な場所に解凍します。 ![image.png](./images/e2e09db2-d6c9-41c8-6598-cee0eb31e48b.png) 解凍すると `TP302` フォルダができます。リネームして `TP3` としておきます。 ![image.png](./images/a00d4091-88d8-a41c-09d5-e3082325567b.png) ### 3. 読み取り専用属性の解除 解凍したファイルには、何故か読み取り専用属性が付いているので、 ![image.png](./images/f4c34e97-0e7a-d1af-e5d9-31934dc2e116.png) `TP3` フォルダを右クリックし [プロパティ] から読み取り専用属性を解除しておきます。 ![image.png](./images/00b8c3e8-3a6a-c237-53f7-10e25ba0052f.png) ### 4. フォルダの移動 `TP3` フォルダを任意の場所に移動します。ここでは `C:\DOS` フォルダへ移動したものとして話を進めます。 ### 5. 起動スクリプトの作成 `C:\DOS\TP3` フォルダの中に `TURBO.CMD` を作成します。 ```bat:TURBO.CMD @echo off cls set PATH=C:\DOS\TP3;%PATH% cd C:\DOS\TP3 chcp 437 msdos turbo.com ``` ※ 日本語環境の Windows の場合、`TURBO.COM` の実行前に `chcp 437` を実行しないと表示がおかしくなります。 ※ `MSDOS.EXE` は `C:\DOS\TP3` フォルダまたはパスの通ったフォルダにコピーしておきます。 `TURBO.CMD` を実行すれば、めでたく **Turbo Pascal 3.02A** が起動します。 ![image.png](./images/8713b2c5-c0d4-f8da-44d0-4e4bc1aca3b9.png) :::note `TURBO-87.COM` が 8087 対応版、`TURBOBCD.COM` が BCD 演算対応版です。 ::: ### 6. 起動用ショートカットの作成 起動用ショートカットは次のように指定します。 ![image.png](./images/b4070417-264e-669f-42d5-0bec59677eff.png) | 項目 | 内容 | |:---|:---| | リンク先 | C:\Windows\System32\cmd.exe /c C:\DOS\TP3\TURBO.CMD | | 作業フォルダ | C:\DOS\TP3 | アイコンはお好きなものを指定して下さい。 **Download:** [Turbo Pascal 3.0 Icon](https://ht-deko.com/antique/TP3.ico) # おわりに アンティークソフトウェアを Windows 10 (64bit) / 11 にインストールした他の製品の記事は次の通りです。 **See also:** - [Turbo Pascal 1.0 を Windows 10 (64bit) / 11 にインストールしてみる (Qiita)](./54cefe48e729742e818d.md) - [Turbo Pascal 5.5 を Windows 10 (64bit) / 11 にインストールしてみる (Qiita)](./eb35e0480559f893a9b8.md) - [Turbo C 2.01 を Windows 10 (64bit) / 11 にインストールしてみる (Qiita)](./100bb258e4480aa7bdf3.md) - [Turbo C++ 1.01 を Windows 10 (64bit) / 11 にインストールしてみる (Qiita)](./7a0e5d84d258c3b1a795.md) - [Delphi 1.0 Client/Server を Windows 10 (64bit) / 11 にインストールしてみる (Qiita)](./a65e0950b906d28ccb5f.md) - [C++Builder 1.0 Client/Server を Windows 10 (64bit) / 11 にインストールしてみる (Qiita)](./40b67a7572b1110bff69.md)